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『あさがおと加瀬さん。』レビュー|甘酸っぱい青春が詰まった、夏色の百合漫画。

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恋が始まる、その一番眩しい瞬間だけを切り取ったような青春百合。

「好きかもしれない」
「私のこと好きだったらいいのに」

そんな恋が始まる寸前の甘酸っぱさを、
夏の青空のような爽やかさで描いた作品です。

可愛い。爽やか。甘酸っぱい。
そんな言葉だけでは足りないくらい、
二人が描く夏色の青春に、読む誰もがぐっと引き込まれてしまう一冊です。

「あさがおと加瀬さん。」の表紙書影
目次

『あさがおと加瀬さん。』とは?

作品概要

  • タイトル:あさがおと加瀬さん。
  • 著者:高嶋ひろみ
  • 出版社:新書館(ひらり、コミックス)
  • 巻数:『あさがおと加瀬さん。』全1巻(「加瀬さん。」シリーズ第1作)
  • 発売日:2012年7月28日

あらすじ(ネタバレなし)

園芸が大好きで、少し内気な女の子・山田結衣。
高校の緑化委員としてひたむきに花を育てる彼女は、
夏休みを間近に控えたある日、中庭で一人の少女に出会います。

そこで自分の植えたあさがおに水をやっていたのは、隣のクラスの人気者で
陸上部のエース、加瀬友香でした。

“あさがお”がつないだ小さな会話をきっかけに、
少しずつ加瀬さんの存在が大きくなっていく山田。
けれど「女の子同士だから」と、
その恋心を胸の奥にそっとしまい込もうとします。

クラスも部活も、まとう雰囲気すら違う二人。
小さな出会いが、やがて二人の距離を少しずつ変えていく――。
どこまでも真っ直ぐな二人の青春が動き出します。

ゆりねこ

初めて読んでからもう14年も経つのですが、今でもページをめくるたびに「甘酸っぺーー!!!」って心が叫びます(笑)。
読んでいるこっちの体温まで上がっていくような、とにかくまっすぐすぎる青春がここにあります。
読んでる間ずっと、夏の暑くて、でも爽やかな甘酸っぱい風が
私の中でずっとそよそよ吹いてました。笑

\ 夏色の恋を、ぜひ試し読みで。 

作品の魅力を深掘り|眩しいほど真っ直ぐな青春百合

好きになる理由、自然体の魅力、滲み出る下心、夏の空気——
その全部が重なって、二人の恋はゆっくりと動き出します。

みどころ①|恋の始まりは、案外こんなものなのかもしれない

恋が始まるきっかけが、学校の中庭という何気ない日常のワンシーンとして、自然に、
それでいて強く心に残る形で描かれています。

最初、山田にとって加瀬さんは「男の子みたいな人」という印象でした。

そんな加瀬さんが、朝練のあとにバケツを持ってあさがおへ水をやっている。
その姿を見て、山田は思わず「あ、やっぱり女の子なんだ」と感じます。

……と思った次の瞬間には、水道で豪快に水を浴びて、「山田もすれば?」と屈託なく笑う加瀬さん。

その何気ない一連のやり取りのなかで、
山田の心に芽生える特別な感情。
隣のクラスの人気者が、目の前で笑った。
ただ、それだけの出来事。

恋が始まる瞬間って、きっとこういうことなんだろうな──と、
その恋心が一気に膨らんでいくスピード感というか、温度の上がり方が最高に青春してるなって感じました。
読んでいるこちらも、くぅ〜と思わず胸を押さえつけざるを得ません!

ゆりねこ

偏見かもしれないですが…。
バケツ持ってザパーッと大胆な水やりをする姿に
女の子を感じる山田フィルターって、かなり独特なのでは?
と感じてしまいます(笑)。

みどころ②|自然体だからこそ惹かれる、加瀬さんの魅力

加瀬さんの魅力は、王道のボーイッシュ女子でありながら、
その姿が「男っぽさ」を意識して振る舞っているわけではなく、
どこまでも自然体なところにあります。

スポーツが好きだから部活に打ち込むし、水を浴びたいから浴びる。
「女の子だから」でも「男の子っぽいから」でもなく、ただ”やりたいことをやってるだけ”。
そのくせ、恋愛が絡むとちゃんと照れるしドキドキもする。
この振れ幅の大きさというか、飾らなさが結果として格好良くも可愛くも映るんです。

そんな加瀬さんですが、誰にでも同じ距離感で接するタイプではなく、
ちゃんと「山田さんだからこそ」の特別な距離感で接しているのがまた良いんです。

実は仲良くなる前から、加瀬さんは、地味だけどひたむきに頑張る山田のことを、ずっと見ていました。
誰かのことをきちんと見て、きちんと敬意を払える人だからこそ、
山田が惹かれていくのも当然だよなと、読んでいて素直に納得できます。

見た目や雰囲気だけに惹かれるのではなく、
お互いが相手の”中身”を見つめながら少しずつ距離を縮めていく。
そんな二人だからこそ、この恋はどこまでも心地よく、応援したくなるんです。

ゆりねこ

そして、ここだけは声を大にして言いたいのですが。
加瀬さんは「胸のデカいボーイッシュ女子です。
……大事なことなのでもう一度言います。
胸のデカいボーイッシュ女子です。
全人類の得とは、たぶんこういうことを言うんでしょうね。

みどころ③|「でも女の子だよ?」は、恋の枕詞だった

自分の加瀬さんへの気持ちを自覚するたびに、
山田は何度も、「でも女の子だよ?」と自分に問いかけます。

百合漫画ではよくある葛藤にも見えますが、私は少し違う印象を受けました。

普通なら「でも女の子同士だし……」というブレーキのはずなのに、
山田の真っ直ぐな恋心を見ていると、
それが全部「でも、それ以上に加瀬さんが好きなの!」という
特大の枕詞に見えてくるから不思議です。

帰宅後にベッドの中で「私のことを好きでありますように」って祈っているシーンなんて、
微笑ましすぎて壁を叩きたくなります。

「女の子だから好きになってはいけない」
ではなく、
「女の子だけど、それでも好きになってしまった」。

その小さな違いだけで、山田の恋は苦しさよりも”好き”の方が大きく育っていくように見えます。
もう、山田には「でも女の子だよ?」なんて言葉すら、
恋の勢いを止める力はなかったのかもしれません。

みどころ④|甘酸っぱいのに、ちゃんと”下心”もある

この作品、ただピュアで爽やかなだけじゃなく、
お互いにこっそり意識し合っている、思春期ならではの描写のバランスが本当に絶妙です。

  • 自転車の二人乗りでお腹に手を回させちゃったり(現代の公道ではアウトですが、古い漫画のご愛嬌として!)。
  • 水筒のまわし飲みで間接キスを意識したり。
  • 座った時の太ももについ視線が釘付けになったり。
  • 焼けた肌と白い肌をこっそり比べっこしたり。

やっていることだけ並べると、ちょっと中二男子みたいなんですけどね(笑)。

「好きだから、どうしても気になってしまう。」
そんな高校生らしい下心として描かれているからこそ、
恋する可愛さとして、終始ニヤニヤしながら読めてしまいます。

ゆりねこ

ニヤニヤしながら読んでいたら、
気づけば私まで二人の一挙手一投足を目で追っていました。
……人のことを「思春期男子みたい」なんて言えませんね(笑)。

最後に|恋が始まる、その一番眩しい時間を味わえる一冊

『あさがおと加瀬さん。』は、恋が始まる瞬間から、
お互いを少しずつ意識していく時間までを、
夏の青空のようにまっすぐ描いた青春百合です。

恋を自覚して戸惑う姿も、思わず下心が顔をのぞかせる瞬間も、
どれも思春期だからこその愛おしさにあふれています。

「早く付き合って!」と思う気持ちと、
「この時間がずっと続いてほしい」と願う気持ち。

その二つの想いを、これほど心地よく味わわせてくれる作品は
そう多くありません。

そして、読み終わった瞬間に
きっと誰もが声を揃えて叫びたくなるはずです。
「そこで終わんのかよ〜〜〜!!!」

青春百合が好きな人はもちろん、恋が始まる瞬間のドキドキや、
誰かを好きになる温度感をもう一度味わいたい人にも、
ぜひ手に取ってほしい一冊です。

\恋が始まる、その一番眩しい瞬間を。/

電子書籍はこちら

紙の単行本はこちら

ゆりねこ

ちなみに、この二人の物語はここで終わりません。
『お弁当と加瀬さん。』以降も、少しずつ関係を深めながら歩んでいく二人の姿が描かれています。気に入った方は、ぜひシリーズも続けて読んでみてください。

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この記事を書いた人

3度の飯より百合が好き。
とりあえず百合と愛猫がいれば生きていけそう。

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