「誰かと誠実に向き合うとは、どういうことか」
その答えが、この4冊の中に詰まっています。
仕事に追われ、人間関係に摩耗し、何かに「丁寧に向き合う」ことを忘れそうになる。
そんな日に、手に取ってほしい本です。
犬井あゆ先生の『定時にあがれたら』は、派手な恋愛の駆け引きや劇的な事件が起きる物語ではありません。
けれど、読み終えたあとに心の中の澱(おり)がすうっと消えていくような、
圧倒的な「浄化力」を持った社会人百合の傑作です。

『定時にあがれたら 』とは?
作品概要
- タイトル:定時にあがれたら
- 著者:犬井あゆ
- 出版社:祥伝社(フィールコミックス)
- 巻数:全4巻(完結)
- 発売日:1巻(2019年4月8日)/2巻(2019年10月8日)/3巻(2020年3月6日)/4巻(2020年10月8日)
あらすじ(ネタバレなし)
ほんわかした雰囲気のOL・佳代子は、ある日オフィスで落とし物の鍵を拾います。
その持ち主は、別部署のクール系美女・香里。
この偶然の出会いから、二人は「ご飯友達」としての時間を重ねるようになります。
面白いのが、二人の連絡方法。社内ではお互いのコートのポケットにこっそりメモを忍ばせる……なんて、アナログで少し秘密めいたやり取りが続くんです。
この「もどかしくて、でも特別な距離感」に、一気に心を持っていかれます。
- 1巻: 出会い、そして静かに芽生える想い
- 2巻: 恋人として歩みはじめる、等身大の二人
- 3巻: 周囲との関わりの中で揺れる、大人の現実
- 4巻: 日常を積み重ねる「意味」にたどり着く終着点
4巻という時間をかけて、二人が一段ずつ階段を登るように関係を築いていく。
そんな、ゆっくりと時間をかけて育まれる「オトナの恋」の物語です。
こんな方にぴったり
- 派手さよりも丁寧な展開を読みたい人
- 仕事に疲れた夜、優しくなれる物語を読みたい人
- 社会人百合の「王道」から読み始めたい人
ゆりねこオトナ百合で、ここまでお互いに誠実に向き合う姿を描いた作品は他にないかもしれません。派手なドラマはないけれど、「どう思った?」「私はこう感じた」という小さな確認の積み重ねが、何よりも尊く、胸に響きます。
作品の深掘り|「定時」から始まる、誠実な恋の足跡
この作品は、劇的な展開で引っ張るタイプではありません。
小さな感情と、何気ない日常を一つずつ重ねていくことで、気づいたときには深く心に入り込んでくる。
そんな“丁寧さ”で読者を掴んでくる社会人百合です。
みどころ①|心臓の音が聴こえるほどの「リアルな情緒」
とにかく、感情の移り変わりを描くのが本当に上手い。
キャラクターの緊張や高揚が、読んでいるこちら側まで「ドクッ」と伝わってくる感覚があるんです。
あまりにときめきが濃すぎて、一気に読み進めるのがもったいない(というか、心臓が持たない)。
途中で一旦本を閉じ、洗濯物を畳むなどの日常作業を挟んで、心を落ち着かせないと読めないほどの
「純度の高い」ときめきがここにあります。
みどころ②|二人だけの世界で完結しない「大人の現実」
この物語が素晴らしいのは、恋を二人だけのファンタジーにしていないところです。
友人や家族に「女性同士であること」を隠すもどかしさ、打ち明ける時の震えるような緊張感。
大切に思うからこそ生まれる不安も、逃げずに丁寧に描かれています。
劇的な解決策があるわけではないけれど、何度も「好き」を確認し合い、一歩ずつ進んでいく。
その「不器用な誠実さ」に、気づけば目頭が熱くなります。
みどころ③|魂を浄化する、最高に幸せな「糖度」
「丁寧な物語」というと少し堅苦しく聞こえるかもしれませんが、それなりに糖度が高いのも魅力。
心の距離だけでなく、身体の距離も、二人のペースで誠実に向き合いながら縮まっていきます。
それは単なるお約束の描写ではなく、お互いの体温を確かめ合い、絆を深めるための大切なステップとして描かれている。だからこそ、読後感は「胸がいっぱい」というか、もはや「お腹いっぱい」になるほどの満足感があります。
結び|日常を「重ねる」という、一番贅沢な奇跡
4巻の最終話に、こんな一節があります。
「小さな偶然を なんでもない毎日を 少しずつ2人で重ねて ここまで歩いてきた」
この物語は、劇的な魔法や大きな奇跡ではなく、こうした「小さな偶然の積み重ね」でできています。
「こんなふうに人と向き合えたら素敵だな」——読み終わったあと、自分の中に溜まっていた日々の疲れや嫌なことが、綺麗に浄化されていくような不思議な感覚に包まれました。
気づけば、誰かと向き合うことを、少しだけ大事にしたくなる。
そんな読後感が、この作品にはあります。
幸せな社会人百合、万歳!!
- 派手な展開よりも、心の機微をじっくり味わいたい人
- 「社会人百合、まずは何を読めばいい?」と迷っている人
- 仕事や人間関係で少し疲れ、心を「浄化」したい人
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