笑って、ドキドキして、泣いて、怒って、また笑う。
お天気みたいにコロコロ変わる情緒で駆け抜ける、
恋と騒動が目まぐるしい全3巻完結の百合コメディ。
全寮制の女子校を舞台に、友達のいない2人が秘密の部活で特別な関係を築いていく――
と思いきや、そこに一癖も二癖もある個性派メンバーたちが乱入して事態は一変。
美古都と猫崎の”すれ違いっぷりが愛おしい”両片想いを中心に、
個性豊かなカップルたちがそれぞれの恋と騒動をドタバタ駆け抜ける。
真面目にドキドキした次の瞬間にはギャグが飛んでくる、
笑いとキュンと、ちょっぴりシリアス(あと、ちょっと艷やか)が
目まぐるしく入れ替わる作品です。
くるくると表情を変える少女たちの恋と日常を、
全3巻という読みやすいボリュームで一気に駆け抜けます。

『雨でも晴れても』とは?
作品概要
- タイトル:雨でも晴れても
- 著者:あらた 伊里
- 出版社:KADOKAWA(電撃コミックスNEXT)
- 巻数:全3巻
- 発売日:1巻(2020年6月27日)/2巻(2021年3月26日)/3巻(2022年3月25日)
- 本作は同作者の前作「とどのつまりの有頂天」(全2巻)のセルフリメイク作品です。
前作よりギャグ成分は控えめ、百合成分と心理描写が濃いめになっています。
あらすじ(ネタバレなし)
小さな島の全寮制女子校「有頂天高校」を舞台に、
方言コンプレックスを抱えた巫女の少女・山田美古都と、
仏頂面で孤立しがちな生徒会役員・猫崎蓮が出会うところから始まる百合物語。
誰も寄せ付けないはずの蓮が、美古都にだけは見せる特別な優しさと表情。
蓮が美古都の居場所のためだけに生徒会権限(職権乱用)を使って作った”巫女部”は、
部室目当てのクセ者たちに吸収合併され、ふたりだけの楽園はあっという間に終わりを告げる。
こうして「有頂天部」が爆誕し、ドタバタな日々が始まる。
- 両片想いのすれ違いが好きな人
- 可愛い作画と、顔芸レベルの激しいギャグのギャップを楽しみたい人
- 固定カップリングの安心感と甘さとちょっとした濃厚な百合が好きな人
- 全3巻で綺麗にハッピーエンドまで駆け抜ける、満足度の高い作品を読みたい人
\ まずは有頂天高校のドタバタな日常をのぞいてみませんか? /
作品の魅力を深掘り|「勢い」と「ちゃんと重い」が同居する、絶妙なさじ加減
本作はテンポの良さでサクサク読ませておいて、
最後にはちゃんと重みを残してきます。
ギャグとシリアスが互いをコーティングし合って、
軽すぎず重すぎない絶妙な温度で物語が進んでいきます。
みどころ①|“見ていたくなる可愛さ”が作品の推進力
キャラデザがとにかく良い。
そして、キャラクターたちの表情がとにかく豊か。
感情の動きに合わせてコロコロと変わるため、
物語のテンポが非常に良くサクサクと読めてしまいます。
そして「可愛い」が基本のタッチでありながら、
ここぞという時の描写がしっかり艷やかで
最高にドキドキさせてくれるのも大きな魅力。
美古都の悶々とする姿や、蓮のふとした無防備な赤面顔など、
視覚的なご褒美がこれでもかと詰まっています。
また、ギャグシーンになると容赦なくキャラクターの顔や造形を崩して
デフォルメしてくるリアクションの激しさもあり、
そのビジュアルのギャップに何度もクスッとさせられます。
ゆりねこまず何よりも声を大にして言いたい。
にゃんにゃん(猫崎蓮)の顔が好きすぎる。
この作画で百合が読める幸せを噛みしめています。
みどころ②|クセ強なのに愛おしい、4組のカップリング
有頂天部に集まった面々、全員クセ強です。
それぞれ笑えるくらいクセ強で個性的でありながら、
ちゃんと重い背景を抱えていて、物語の厚みを作っています。
中心にいるのは、両片想いをこじらせ続ける美古都と猫崎蓮。
そこに、いつも喧嘩してるのにほぼ24時間一緒にいる
昭和歌謡レコード好きのケンカップル・獅子丸×辺銀。
正反対なのにちゃんと恋人な幼馴染コンビ・タクヤ×夜空。
そして大人×生徒という意外な組み合わせのカップルまで加わって、
4組それぞれまったく違う関係性が並走していきます。
ふわふわしてるように見える子が実は誰かを支えていたり、
ケンカしてばかりのふたりがある日決定的な場面で本音をぶつけ合ったり。
「人という字は支え合って出来ている」を地で行く関係性たちです。



獅子丸に辺銀がいなかったら、タクヤに夜空がいなかったら、
と考えるとちょっと怖いです…。
ちなみに常識人ポジションのキャラたちを振り回す側の面々、
全員名前に動物が入ってるんですが(猫崎、獅子丸、辺銀(ペンギン)、熊倉、兎田)、名は体を表すってことなんでしょうか。
うーん気になって昼寝と夜しか眠れません。
みどころ③|ギャグとシリアスが調和する
本作の読み味を一言で表すなら、「シリコメ(シリアスコメディ・※管理人の造語です)」の極地。
勢いのあるハイテンションギャグと、
少女たちの切なく繊細な感情が絶妙なバランスで混ざり合っています。
重くなりそうなシリアスな展開も、いつのまにかギャグの勢いで押し流され
逆にただのドタバタコメディかと思いきや、
ふとした瞬間に胸がキュンとするような真面目な心理描写が飛び込んでくる。
真面目にドキドキした次の瞬間にはツッコミを入れざるを得ない、
このお天気のようにコロコロ変わるスピード感こそが本作の真骨頂です。
後半の展開は全3巻というボリュームゆえにかなりハイスピードですが、
重いシリアスを引きずらず、ラストまで「楽しいドタバタ百合コメディー」として
ハッピーエンドへ着地する、非常に満足度の高い構成になっています。
ネタバレあり|ちょっとだけキャラ語り
猫崎蓮という人間について(ネタバレあり)
猫崎蓮という人間が、めちゃくちゃ面倒くさいけどそこがいい
猫崎蓮は、一部からは「不機嫌女王」と呼ばれたりして近寄りがたい存在です。
彼女の性格を一言で表すなら、まさに「人間って複雑ですね」を体現する難解さ。
気難しくて素直になれず、「殻」に閉じこもっているのは、
過去のある体験から生まれた強い自己不信や、
人の愛情を信じきれないネガティブな一面があるからでもあります。
基本は他人に興味がなくドライな彼女ですが、
山田美古都にだけは驚くほど優しくなり、
職権乱用(?)を厭わないレベルで執着していきます。
この偏り方が、恋愛感情なのか執着なのか判別しきれない
曖昧さを生んでいるのがまた厄介で。
さらに自分の感情を自分でも正しく認識できないまま
行動だけが先に暴走していきます。
「好きだから優しくする」のではなく
「どうしていいかわからないから優しくしてしまう」、
その歪みごと愛おしく見えてしまうキャラクターです。
だからこそ、彼女の行動は時々まったく理解できない(笑)。
猫崎マジックという名の、難解すぎる思考回路
前述の結果として生まれるのが、通称「猫崎マジック(命名:美古都)」。
付き合う前より付き合ったあとのほうがプラトニックになるという
謎現象を平気で発動させます。
一筋縄ではいかない思考回路の持ち主なので、
なにか進展がありそうなたびに、常識人の美古都とは真逆のことを考えている、
そんなすれ違いの極みのような展開も本作ならではの見どころ、
かつ最高のつっこみポイントです。
不器用すぎるすれ違いを演じてしまう蓮ですが、
部活動中には部員に「にゃんにゃん」と言われて弄られている可愛い一面もあったりと、
知れば知るほどギャップに沼るキャラクターです。
彼女が抱える頑なな殻が、美古都という真っ直ぐな存在によってどう解きほぐされていくのか……。
物語の後半に明かされる彼女のドラマと、その先にある最高に愛おしい進展は、
ぜひ実際にコミックスを手にとって見届けてみてください!



にゃんにゃん(猫崎)がつくるシリアス雰囲気や、
物事をややこしくしちゃうせいで、読んでてたまにどういう事???ってなる時があります。
でも読めば読むほど、複雑怪奇なにゃんにゃんが愛おしくなってくるのです。
最後に|とどのつまり、今すぐ読んでほしい名作です
笑いあり、ときめきあり、すれ違いあり。
気づけば有頂天部のみんなの掛け合いがクセになっていて、
読み終わる頃には「もう少しこの日常を見ていたい」と思わせてくれる作品です。
全3巻と手に取りやすい長さなので、ぜひ有頂天部のみんなと一緒に、
賑やかで愛おしい時間を過ごしてみてください。



あと2年生以降の有頂天部員5人が寮で同室になる回、見たかったな〜。
きっとわちゃくちゃやってたんだろうね!
セルフリメイク元の『とどのつまりの有頂天』を先に読んでいると、
物語やキャラクターの違いを楽しめて、より二度美味しいです。
もっとギャグに全振りしたハイテンションな空気を味わいたい方は、
ぜひそちらもあわせて読んでみてください。
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